なまけオオカミ と はらぺこライオン |
はらぺこライオンが言った。 「あー、はらがへった。そろそろメシにしよう。」 そしてあっというまに、えものをつかまえて、食べてしまった。 ここらへんでライオンよりも強い者はいなかった。 ● ● ● ● ● ● ● なまけオオカミが言った。 「あー、はらがへった。そろそろメシにしよう。」 そして昨日しかけたワナのところに行き、かかっていたえものを、食べてしまった。 ここらへんで、オオカミよりも頭のいい者はいなかった。 ● ● ● ● ● ● ● ある日、オオカミは考えた。 (こうして、毎日毎日、ワナをしかけて歩くのも面倒くさい。もっと楽にメシにありつけないだろうか・・・。) オオカミは一晩中考えると、体中にロウをぬって、ライオンの家の前に行き、朝になるのを待った。 ● ● ● ● ● ● ● 次の日、ライオンは起きてみてビックリした。 ライオンに自分から近づいてくる者はいなかったからだ。 オオカミは言った。 「おまえは自分のことを、一番強いと思っているそうだな。それならこの俺を食べてしまうこともできるか?」 ライオンは言った。 「ああ、わけはない。」 そして二匹は戦った。 ところがオオカミは戦うフリをしているだけで、ライオンにかみくだかれないように、うまく丸のみにされた。 ライオンは言った。 「やっぱり俺が一番だ。」 オオカミを食べて、お腹がいっぱいになったライオンは、昼寝をした。 ● ● ● ● ● ● ● 昼寝からさめて、ライオンはお腹がすいているのに気が付いた。 「おかしいな。さっき、オオカミの奴を食べたばかりなのに・・・。まぁ、いい。メシにしよう。」 ライオンはあっというまに、えものをつかまえて食べてしまった。 ● ● ● ● ● ● ● オオカミはそれを待っていた。体中にロウをぬったおかげで、ライオンの胃で溶かされないですんだのだ。 そしてライオンのとったえものを、たらふく食べた。 オオカミは言った。 「オレはずいぶんうまくやったぞ。これならワナをしかける手間もないし、食い物が上からふってくる。やっぱり俺は一番頭がいいぞ。」 ● ● ● ● ● ● ● とったえものをオオカミが食べてしまうので、 ライオンはいつもはらぺこだった。 オオカミはいつもまんぷくだった。 ● ● ● ● ● ● ● ある日、はらぺこライオンのところに、一匹のメスライオンがやってきた。二匹はすぐに仲良くなり、いっしょに暮らすようになった。 そしてとってきたえものを仲良く分けて食べた。 オオカミは言った。 「ちぇっ、食い物が半分になっちまった。でもライオンの奴は狩りがうまいからな。まだまだ腹いっぱい食えらぁ。」 ライオンはますますはらぺこになったが、幸せだった。 ● ● ● ● ● ● ● そのうち、ライオンに子どもが生まれた。三匹のライオンはとってきたえものを、仲良く分けて食べた。 オオカミは言った。 「ちぇっ、また食い物が少なくなった。でもライオンの奴は狩りがうまいから、まだまだ腹がふくれるにはじゅうぶんだ。」 ライオンはもっとはらぺこになったが、もっと幸せだった。 ● ● ● ● ● ● ● ライオンたちの楽しそうな様子をお腹の中から聞いているうちに、オオカミはだんだんさみしくなってきた。 オオカミは言った。 「そういえば、オレはずいぶんだれとも話してないな。」 そう思うと、まっくらなライオンのお腹の中が、どんどんこわくなってきた。 ライオンたちの楽しそうな声だけが、オオカミの楽しみになった。 ● ● ● ● ● ● ● そしてある日、オオカミはとうとう泣き出してしまった。 「うあーん、ひとりぼっちはいやだー。さみしいよー。」 オオカミはいつまでも泣いていた。 泣いているうちに、体が熱くなってきて、ぬっていたロウが溶けてしまった。 そして、オオカミも溶けてしまった。 ● ● ● ● ● ● ● ライオンははらぺこではなくなった。 ライオンはいつもと同じように幸せだった。 |
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