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 なんとなく 

 001-010 タイトル

010 寂しくて
009 かわいそうな僕
008 A男とB子 その2
007 A男とB子 その1「エイプリルフール」
006 桜
005 婚前
004 価値観の違い
003 しあわせ
002 人工生命
001 予言

 本編

010 寂しくて
「最近、彼氏がかまってくれない。ウサギは寂しいと死んじゃうのに」

「・・・君はウサギなのか?」

「寂しくて死んじゃいそうだもん」

「違う。寂しくて死ぬのはモグラだ」

「は?」

「走性というものを知ってるか?」

「何それ」

「本能的もっているある種の特性だ。例えば、光が当たるほうへ向かって伸びていく植物。これは光に対する正の走性を持っているといえる。逆にミミズなどは負の走光性をもつ。つまり光から離れていくということだ」

「へぇ」

「そしてモグラは接触に対する正の走性をもっている。彼らの巣はとても狭くほぼ体の幅しかない。それはどこかに触れていないと安心できないからだ。モグラをだだっぴろいところに置いておくとストレスで死ぬこともある。モグラは寂しいと死んでしまうんだ」

「んで?」

「だから、君はウサギじゃなくて、モグラ」

「なんでそんなかわいくないものに例えられなきゃいけないのよ!女の子を慰めることも出来ないの?もういい!帰る!!」


ガタッ。バタバタ

「・・・やっぱり君はモグラに似ていると思うんだけどなぁ。恋人が出来てから君は変わった。周りのものが見えなくなった。・・・恋は盲目、か」


009 かわいそうな僕
「ゴミ箱ってかわいそうだよなぁ」

「なんで?」

「ゴミ箱に生まれてきたばっかりに、ごみばっかりいれられて」

「?・・・だったら便器の方がかわいそうじゃん」

「ああ、そうか。便器もかわいそうだなぁ。『おでこのメガネでデコデコデッコリン』ってしたらきっと文句たらたらだぞ」

「そんなことはないんじゃないか?きっと自分の使命に誇りを持ってるって。で、どうしたんだよ。やぶからぼうに」

「いやね。不細工に生まれついたために、冷たいあしらいを受けているかわいそうな俺とおんなじだなって同情してさ」

「・・・お前がなんでモテないか、よくわかった気がする」


008 A男とB子 その2
B子 「そういえば4月1日、誕生日だったんだ、私」

A男 「え?なんで言わなかったんだよ。おめでとうくらい言ってやったのに」

B子 「だって…嘘だと思うでしょう?」

A男 「ああ…そうかもなぁ。ま、とにかくおめでとうございました。」

B子 「あははw ありがとうございました」

A男 「しかし、4月に入ってから生まれてるのになんで同じ学年なんだろうな」

B子 「ああ、それはね、法律の問題なのです」

A男 「ややこしそうだな」

B子 「うん。ややこしいよぉ。学校教育法では確かに4月1日から新学期が始まるのです。だけど民法上では年をとるのは前日の…正午だったかな?とにかく誕生日の前の日なのね。だから4月1日生まれの人が年をとるのは3月31日。ってことで前の学年に入るのです」

A男 「…詳しいね」

B子 「自分でもなんでだろうって思ってたからね。調べたの」

A男 「ほう、立派立派。とにかく同級生で一番若いってことだな」

B子 「そうよぉ。何かちょうだい、お兄ちゃん」

A男 「うわ、あつかましい。じゃあ、このジュースやるよ」

B子 「何よこれ、飲みかけじゃない」

A男 「そう、俺様の間接キッスのおまけつき」

B子 「キャー!いやらしい〜!w でも、もらっておいてあげるわw」

A男 「うそうそ。新しいの買ってくるって。何がいい?」

B子 「いいわよ。これで」

A男 「は?遠慮する必要ないって」

B子 「いいの。これで」

A男 「おうおう。俺様の間接キッスがそんなに魅力的だったか。まいったな」

B子 「自意識過剰ぉ〜」

A男 「んじゃ、いらない?」

B子 「…いる」


007 A男とB子 その1「エイプリルフール」
A男 「おっす」

B子 「あ、A君」

A男 「今日、エイプリルフールだよな」

B子 「そうだね。あたし、もう3人に嘘ついちゃった」

A男 「あ、ワルだねぇ。俺も4人ゲット」

B子 「そっちの方がワルじゃんw」

A男 「俺の勝ち〜w」

B子 「んじゃ、もう一人騙そうかな」

A男 「ん?」

B子 「・・・実はね、あたしA君のこと好きなんだ」

A男 「・・・え?」

B子 「・・・ん?聞こえなかった?」

A男 「アハハハ」

B子 「アハハ」

A男 「・・・俺もB子のこと好きだよ」

B子 「・・・え?」

A男 「・・・ん?聞こえたよね?」

B子 「アハハ」

A男 「アハハハ」

B子 「・・・・・」

A男 「・・・・・」

B子 「エイプリルフールだしね」

A男 「エイプリルフールだしな」


006 桜
「もうすぐ桜が咲くね」

「・・・実は、桜ってあんまり好きじゃないんだ」

「どうして?」

「狂気の花だから」

「もしかして根元に死体が埋まってるとか信じてるの?」

「違う違う。普通、植物ってさ、葉を出して養分を溜めて、そうして花を咲かせ実を結ぶじゃない?それが桜は違う。厳しい冬が終わったらいきなり花を咲かせる。しかも大量に花だけを。まるで自分の身を削ってるみたいじゃないか」

「うーん」

「それは狂気の沙汰としか思えない。だからこそ死体が埋まってるとか、そんな話が出てくるんだ」

「・・・どうだろ?」

「反論でも?」

「それは人間が勝手に思ってるだけだよ。彼らはそんなこと思ってないよ。ただ当たり前に生きてるだけ」

「当たり前・・・か」

「そうやって苦労して咲かせた大量の花も数日で散ってしまう。それを儚いと思う人もいるかもしれない。だけどそれは葉を出すための養分になるんだよ。やっぱり彼らは一生懸命生きてるだけなんだ」

「・・・だからかな?僕はさっき桜は好きじゃないといったけれど、キレイだとは思うんだ。」

「咲いたら花見に行こうか?彼らが当たり前に潔く生きている姿を見に」

「うん」

「きっとキレイだよ」

「うん」


005 婚前
「大きくなってきたね〜」

相方がお腹をなでてくる。
式の予定を早めてよかった。
転勤の前に挙げておきたいからという理由で早めた式だったが、
一生に一度しかしない(予定の)礼服だ。
お腹が大きいのでは格好がつかない。

「あ、いま動いたんじゃない?」

お腹に耳を当てていた相方が楽しそうな目で見上げる。






「わかった!わかったよ!これ以上太らないから!いや痩せるから!
お願いだからからかうのはやめてくれ!」

意地悪そうにニヤニヤしている、もうすぐ奥さんに向かって叫んだ。


004 価値観の違い
「気に入らないわ」

「何がだよ?」

「私、それ、好きじゃないの」

「君が嫌いでも俺は好きなんだからいいだろう?」

「でも、私にもそれをさせようとした」

「それは・・・俺は、良かれと思って」

「自分は好きだから、相手も好きに違いないとでも思ってるの?傲慢ね」

「そこまで言うことないだろう」

「違う人間なんだから違うところがあってあたり前。だけど、あなたはその確認を怠った」

「悪かった。俺が悪かったよ。・・・だけど」

「だけど、何?」

「目玉焼きに何をかけるかごときでそんなに目くじら立てることないじゃないか」


003 しあわせ
「幸せが目に見えたらいいのになぁ」

「どうしたの?急に」

「幸せが目に見えたら安心できそうじゃない?鏡をみたらポワーンってシャボン玉に包まれてるみたいに幸せが見えるの」

「でも、そうしたら他の人のほうが幸せが大きくて羨ましくなったり、自分の方が大きくて優越感を抱いたりしてしまうと思う」

「そっか・・・そんなの幸せじゃないね」

「死ぬときに『ああ、幸せだったなぁ』って見えるのなら素敵だと思うけれど」

「そう思えるように生きていきたいね」


002 人工生命
A 「体って電気信号で動いてるんだよね?」

B 「そうだね。微弱なので」

A 「脳もそうだよね?」

B 「うん」

A 「ってことは、記憶も思考も電気信号によってなされているわけだ」

B 「そういうことになるよね」

A 「じゃあ、そのメカニズムが解明されて、記憶できる有機体とか開発できたら人工生命とか作れちゃうのかな」

B 「全能性のある細胞を使えばいまでも作れるかもね。一部なら」

A 「親のいない生命か・・・」

B 「いや、でもムリだと思うよ。完全な生命を作るのは。代替臓器は作れるかもしれないけど」

A 「なんでさ?すべての電気信号とそれをつかさどる仕組みを解き明かして、さらに再現できたという仮定でもかい?」

B 「最初に動くという意思を与えるのをどうするかだと思うんだ」

A 「きっかけに刺激を与えてやればいいんじゃないのかな」

B 「そんな単純なことかな。生命として動き出すとき以外にも、例えば、腕を動かそうとして腕を動かす指令を出すことは人工的にも出来るかもしれないけれども、『腕を動かそう』って意思を作り出すのは人工的なことじゃないと思うんだ」

A 「それが命ってやつなのかもね」


001 予言
男 「ノストラダムスの予言って信じる?」

女 「当たってたら世界は滅びてるじゃない」

男 「それはひとつの解釈にすぎないよ」

女 「彼の言いたいことは別にあるってこと?」

男 「うん。もっとずっと先のことかもしれないし、そもそも世界が滅びることもないかもしれない」

女 「誰も正しい解釈が出来ないとしたら、予言の意味がないじゃない」

男 「僕はそうは思わないな」

女 「どういうこと?」

男 「予言や占いっていうのは、導き出された良いことを達成する努力のための希望になったり、まだ悪いことを回避する努力のための希望になるものなんだと思う」

女 「結局は行動するための心の支えってことね」

男 「そうさ。そこで僕は予言する」

女 「何を?」

男 「『君は僕を好きになる』」

女 「その予言は当たりません」

男 「いいんだ。結果として当たったことになるように僕が努力する礎になればいいんだから」

女 「じゃあ、私はその結果を回避するように全力で行動するわ」

男 「ぅゎ〜」




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