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 なんとなく 

 011-020 タイトル

020 フェミニスト
019 チャイニーズ2
018 チャイニーズ
017 桃源郷を探して
016 夢
015 あの箱
014 語尾
013 帰りの会
012 生食
011 気持ちの良い朝

 本編

020 フェミニスト
「ヘイ、そこの彼女。お茶しない?」

「なんですか!初対面の人間に向かってその口の聞き方は!!訂正しなさい!今すぐやり直しなさい!!」

「ごめんなさい。もういいです」

「誰が謝れといっているのです。私はやり直しを要求しているのです」

「はぁ…。もしもし、そこのお嬢さん。よろしければ私とそこの喫茶店でお茶でもご一緒していただけませんか?」

「…あなたは私が女性だから声をかけたというのですか?」

「…はい。ナンパですから」

「それは差別です!しかも女性のことを性の捌け口としてみているセクハラでもあります!」

「すみません。異性愛者なもので」

「だから謝れとは言っていません。何かというとすぐ謝る。これだから日本は外国になめられるのです。特に一番近い国に」

「ああ、謝罪しろってうるさいですもんね」

「まぁ、わたくしも鬼ではありませんから、お茶くらいご一緒して差し上げてもよくってよ」

「あ、いや、もういいです」

「それでも男ですか!殿方ですか!日本の男児ですか!自分で口に出したことは守りなさい!初志貫徹しなさい!武士に二言はない!」

「武士じゃないです」

「それでは参りましょうか」

「あ、無視ですか。そうですか」

「…何をそんなに離れて歩いているのです。女性に恥をかかせるものではありません」

「申し訳ありません」

「また謝る!」

「でも、女性だからと特別扱いされるの嫌なんじゃないですか?」

「ふふふ…そうね、滑稽に見えるでしょう?でもね、女たるもの誰かの特別になりたいものなのよ」

「はぁ」

「わたくし、あなたのこと好きになっちゃったみたい」

「ごめんなさい」

「また謝る!」


019 チャイニーズ2
A 「面白いなぁ」

B 「何が?」

A 「中国では恋人のことを『愛人』(アイレン)と言うらしい」

B 「へぇ。日本語の意味とは裏腹だね」

A 「でも、漢字を見ると、むしろ愛人の方が正しそうだけどね」

B 「・・・恋人同士という関係であってもといって愛してるとは限らないんだよ」

A 「過去に何かあったのか?」

B 「そんなことより他に面白い言葉はないの?ていうか面白い話題に変えてくれ」

A 「うーん、手紙とか?」

B 「中国語ではどんな意味なの?」

A 「トイレットペーパー」

B 「うおっ!それは中国の友人にうかつに手紙を書けないな」

A 「いや、日本語で言うところの手紙は中国にもあるから。信封っていうの」

B 「他には?他にはないの?」

A 「そうだなぁ。俺は傾国って言葉が好きだな」

B 「あ、漢文で習った気がする。どういう意味だっけ?」

A 「絶世の美女って意味。女に腑抜けにされて国をおろそかにした皇帝がいて、そこから美しすぎる女性は国を傾けるってね。実際にあったことだからすごいよね」

B 「俺も国を傾けたい!っていうか女性が俺に傾いて欲しい!」

A 「お前が唐突にマンガのセリフを引用するから、女の子たちはよく小首を傾げているぞ」

B 「おお!俺はすでに傾けていたのか!傾国の見込みありだな!」

A 「どっちかというとアウトの方向に傾いている」

B 「しかし俺は首なんかより心を傾けて欲しい!俺にグラッときて欲しい!」

A 「いるじゃないか、お前のことが大好きで、しかも傾いている女性が」

B 「マジで?誰?」

A 「お前のおばあちゃん」

B 「それは腰が曲がってるんだよ」


018 チャイニーズ
A 「バチカンで〜ヤクダツ〜トッサノ〜ヒトコト〜『コンクラーベ』」

B 「コンクラーベ」

A 「・・・」

B 「・・・」

A 「・・・」

B 「それしか知らないのかよ!じゃあ最初からやるなよ!」

A 「いや、さっきラーメンズのデーブイデー見てたからさ」

B 「まぁ、真似したくなる気持ちは分かるけれど、なんでまたバチカン」

A 「コンクラーベって言いたかっただけ」

B 「やっぱりか」

A 「じゃあ、中国にする。トンシューメン〜、ラオシーのいうことをティンティンあるよ〜」

B 「ちょっと待て。いまなんて言った?」

A 「生徒のみんな〜、先生の言うことよく聞いてね〜」

B 「いや、中国に行った長島さんみたいな部分の最後のヤツ」

A 「ティンティン。聞くって意味だよ」

B 「えーと、語学の発音の勉強ってまずは先生の発音を真似するところから始まるよな?」

A 「少なくとも日本では大概そうだと思うよ」

B 「じゃあ、大学に入ったばかりのうら若き中国語一年生の乙女たちは、先生の言うとおりに繰り返すわけだ。『リピートアフターミー、ティンティン』『『ティンティン〜』』と」

A 「まぁな。お前が言ったのは英語になっているけれど」

B 「決めた!俺、大学に入ったら中国語選択する!!」

A 「すごく邪(よこしま)な顔してる」

B 「何を言う!俺は昔から阪神ファンだ!」

A 「縦縞か。ならいいか」

B 「そういうわけで、早速いまから予習しておきたい。もっと中国語を教えてくれ」

A 「わかった。じゃあ、簡単なところから。マーボードウフー」

B 「日本語じゃないか。チンジャオロースとかならまだ分かるけど」

A 「いや、ホントにこんな感じの発音なんだって。豆腐は中国語ではdoufuなの」

B 「漢字は中国からわかってきたんだもんな。元の発音が結構残ってるのか」

A 「日本人の名前を中国語読みにすると、発音残ってない人のほうが多いけどね」

B 「例えば?」

A 「う〜ん、ジン・タイシャンとか」

B 「お!中国人っぽい!」

A 「そうだろ?中国語の先生にもそれっぽいと絶賛されてたからな」

B 「で、誰の名前?」

A 「唐黍と言う人の本名を中国読みにしてみたものだ」

B 「誰それ?」

A 「…知らないならいい」


017 桃源郷を探して
B 「何の本読んでるんだ?」

A 「民俗学の本」

B 「へぇ、珍しい」

A 「ところで、俺は旅に出ようと思う」

B 「また唐突だな。自分探しか?」

A 「…確かに進むべき道を見失ってはいるけど」

B 「人生の迷子だもんな」

A 「こんな俺は嫌だ!」

B 「びっくりするほどモテないもんな」

A 「こんな自分を変えたい!」

B 「やっぱり自分探しじゃないか」

A 「もう、いいよ。それで」

B 「で、どこに行くんだよ?」

A 「この本に書いてあったんだが、山奥の辺鄙な村では旅人を歓待してくれるらしい。なぜか分かるか?」

B 「珍しいから?」

A 「血だ」

B 「血?」

A 「閉鎖的な空間ではどうしても近い縁組となってしまい血が濃くなる。だから旅人が来ると村の若い女をあてがい、新しい血を入れようとする」

B 「昔の話だろ?」

A 「それが案外、近代まであったらしい」

B 「…」

A 「…」

B 「まさかな」

A 「なぁ」

B 「ところでその旅だが、俺も連れて行ってくれないか?」

A 「もちろんだ」


016 夢
A 「喉渇いたぁ〜」

B 「今日暑いもんね」

A 「…蛇口からコーラがでてくればいいのになぁ」

B 「そんなことしたら流れた部分がベタベタになって掃除が大変だよ」

A 「…夢のないやつだなぁ」

B 「そんなことないよ。僕にも夢くらいあるよ」

A 「どんなの?」

B 「2組のエリちゃんと結婚したい」

A 「あの『曲がり角でぶつかりたい少女ランキング』1位のエリちゃん?」

B 「うん。『見るだけで元気が出るランキング』1位のエリちゃん」

A 「…夢見がちだね」


015 あの箱
その箱の中にはすべての欲望がつまっているという。

ひとたび開けると、それが世界中に飛び散り、人々は欲に捕らわれ・・・
っていまの世界と別に代わりないんじゃない?
いまだって人々はいろんな欲に突き動かされ汚染されている。
そう思って思い切って箱を開けてみた。えへ、やっちゃった♪

すごい勢いで中から物体でないものが飛び出してきた。
一様に暗色をしているが仄光っている。
ああ、やっぱりやっちゃったかなぁ、あはは

箱から出てきたものはあっというまに見えなくなり、後には空の箱が残された。
本当に何も残っていないのかと覗き込もうとすると、頬の横を一陣の風が通り抜けた。
明るく光るものを連れて。
そうか、これは希望。希望の風。
道行く婦女子のスカートをめくってくれることだろう。


その箱の名はパンチラの箱。


014 語尾
「動物キャラには語尾が付きものだ」

「『何するんだワン』『痛いニャ』とかそういうやつだな」

「そういった鳴き声から発想できるものはいいが、鳴かないものもいる」

「ウサギは『ついてくるピョン』とかが使われるな」

「ああ。擬態語にしやすい特性を持っているからな。」

「象は鳴くけど『僕に任せるゾウ〜』とか言うな」

「パオーンというのは語尾には長い上に、つけると間抜けな響きだからな。他にもどんな語尾をつけていいのかよくわからない動物は名前を用いられることが多い」

「で、なんでこんなことを切り出したんだ?」

「俺は目立たないからな。語尾でもつければキャラ立ちすると思って。どんなのがいいと思う?」

「確かにいてもいなくても気にされない、道端の雑草みたいな存在だからな、お前。そうだなぁ、やっぱりこれといった特徴がないから名前じゃないか?・・・じゃあ、安田だからヤスで」

「ひ、ひどいでやんす!いくらキャラが薄いからってその例えはないでやんす!」

「あっさり使ってる上に自らアレンジしてるーーー!!」

「こうなったらお前もつけるでやんす。心の底からゲス野郎だからゲスがいいでやんす」

「そっちの方がひどいでげす!仕返しのつもりでげすか!!」

「なんだか『おやびーん』っていってそうな二人組みになったでやんす」

「でも、おやびんはいないでげす」

「・・・やめよう」

「うん、やめよう」


013 帰りの会
日直「これから帰りの会を始めます。今日の出来事。
今日は理科の時間に見たビデオが面白かったです。生命ってこうやって誕生したんだなぁと思いました。他に何かありますか?」

「はい」

日直「田中さん」

「5班の男子が掃除の時間、雑巾を投げていました。真面目にして欲しいです」

日直「他に何かありますか?・・・。係りからの連絡。何かありますか?」

「はい」

日直「鈴木さん」

「林間学校実行委員です。キャンプファイヤーのときのゲームでやりたいものがある人はあさってまでに紙に書いて私に渡してください。」

日直「他にありますか?・・・。教科係さんお願いします」

「国語係です。特にありません」

「数学係です。コンパスと三角定規を持ってきてください」

「体育係です。明日は晴れたら外、雨が降ったら体育館です」

「理科係です。特にありません」

「社会係です。地図帳を忘れないでください」

「現代片桐概論係です。ヒメカタギリのストラップや、眼球保護膜などの片桐で出来たものが家にある人は持ってきてください」

日直「先生お願いします」

先生「はい。5班の男子、君たちは授業中も給食のときもちょっと元気があり過ぎます。楽しく過ごすのはいいことですが、けじめをつけましょう。 明日は給食の集金です。忘れないで持ってくるように。 あと、掲示係はちょっと残ってください。はい、日直さん」

日直「きりーつ。先生さよーなら」

「「「「「さよーならー」」」」」

先生「はい。さようなら」


012 生食
「開腹手術で洗浄するときって生理食塩水使うんだよね?」

「たぶん」

「あれってそのあとどうなるんだろう?」

「どういうこと?」

「体液と等圧になるように生理食塩水を使うわけだから、そのあと純粋で洗浄するわけにいかないじゃん。だからといってキレイにふき取るってわけでもないだろうし。ってことは塩水が体内に残るわけだ。その塩分はどこにいっちゃうんだろう?」

「吸収されんじゃない?」

「臓器の外部だよ。吸収できるのかなぁ。水分はなんとかなったとしても、そうすると塩分濃度が高くなっちゃうだろうし・・・。次に手術したときに潮の塊とかが出てきたりしないのかな」

「・・・お前って、そんなことばっかり考えてんの?」


011 気持ちの良い朝
 驚くほどぱっちりと目が覚めた。

 昨日の頭脳労働のせいだろうか、脳は逆に深い眠りについたらしく、むしろはっきりと冴え渡っていた。
 日ごろ悩まされている低血圧が嘘のように、起き抜けにもかかわらず、いまは天井の模様の一つ一つがはっきりと迫ってくる。

 対照的に体がずんと重い。一晩のうちに体重が恐ろしく増えたように、腕一本あげることすら億劫だ。
 しかし僕は知っていた。この重さはひとたび動き出せばあっという間に消え去り、むしろ普段よりも軽い体をつれてきてくれる。
 これは深い眠りに落ち、疲れが完全に消え去ることの後遺症なのだ。それを思えば、この体の重さも苦ではなく、むしろうれしくさえ思える。

 そう思うといきなり動き出すのももったいなく思え、首だけを少し動かしてみた。
 瞬間、痛みのような鋭い刺激を覚え、目をつぶる。ゆっくりと目を開けると、その刺激は痛みではなくカーテンからもれる強い光だった。
 こんなにまぶしいのに良く寝ていられたものだ。
 よほど疲れていたらしい。目覚めたときに部屋の中がやけにはっきり感じられたのはどうやら目覚めの良さだけが原因ではないようだ。
 日光が入ってきているからか、部屋の中はポカポカと暖かい。朝のツンと人を引き締めるような空気は残っていなかった。

 いま何時だろう。時計を見るために傾けた首を動かすと、また光に目を貫かれた。
 また、やっちゃったよ、と思いながらも少し笑ってしまう。
 再び目を開けたとき、すでにぱっちりと目覚めていたはずの目が、さらに大きくなった。

「・・・試験、寝過ごした」




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