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 なんとなく 

 021-030 タイトル

025 超能力者
024 イタチごっこ
023 離婚の執行猶予
022 嘘発見器?
021 文房具屋さん

 本編

025 超能力者
「はい。いってらっしゃい。大人気の超能力者さんw チュ」

妻は毎朝、こうしてキスをして仕事に行く私を送ってくれる。
気恥ずかしいのだが、妻がそうしないとイヤだというのだからしょうがない。
なにしろ、たいした力もなく一応超能力者ですといった有様だった私が、
妻と結婚してからというもの、一気にその能力が開眼したのだから。
予知はズバズバ当たるし、鉛でさえ透視できるし、望みとあればその人の心も読める。
妻はいわば幸運の女神だ。その妻のかわいい我儘をきかないわけには行かない。

私の能力が噂になり、テレビ番組に呼ばれた。
反響が大きかったらしく、いまでは引っ張りだこだ。
コーナーを持つレギュラー番組5本、さらに私の芸名が付いた番組まで持っている。
妻の言うとおり、大人気の超能力者になることができた。

しかし、そのような仕事が多くなると、当然接待に呼ばれることもある。
超能力者には無縁だと敬遠していたが、慣れるにつれ、振舞いも奔放になってきた。
妻を裏切るわけには行かないと強く思っていたが、ついフラフラと女の子と遊んでしまった。

その晩のこと。
妻は敏感にそのことに気づいた。まるで妻も超能力者で私の心を読んでいるようだ。
まったく女というのは怖い。
謝り倒し、もう二度としないと誓ったが、次の日になっても機嫌を直してくれず
いつのも儀式もなしに仕事に行った。

その日は絶不調だった。どの超能力もうまく行かない。
結局収録中止になり、失意のうちに帰途に付いた。

「こんなことは結婚して以来始めてだ。きっと妻と喧嘩してしまったからだろう。
幸運の女神を裏切った罰が当たったのだ」

と反省し、帰宅してすぐ謝るつもりだったのだが、
また妻がネチネチと文句を言ってくるものだから、仕事がうまく行かなかった
ことで機嫌が悪かったこともあり、つい怒鳴ってしまった。

「一体誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ!」

「あなたこそ、一体誰のおかげで人気者になれたと思ってるのよ!」

売り言葉に買い言葉だと分かっていても、妻の言葉に気づかされた。
まったくさっき反省したばかりだというのに、何をやっているのだろう。
幸運の女神を取り戻すべく、素直に謝る決意をした。
が、妻の口から出てきた言葉は予想だにしないことだった。

「毎朝私の暗示にかかっているとも知らないで!
とんだ暗示で超能力ができるようになるなんてとんだお調子者ね!」


024 イタチごっこ
「いまから、ある動物のモノマネをします。当てて下さい」

「よし、来い!」

「ピョコ、キョロキョロ」

「リス!」

「ブブー!続けます。フーッ!キシャー!」

「ネコ!」

「違います。えー?わかんない?結構うまいと思うんだけどなぁ。んじゃ、ヒントね。児童文学『冒険島』」

「何それ?」

「『ガンバの大冒険』の原作」

「うわ〜、若者がついてこられないネタだ」

「うるさい!これの敵は何だった?」

「えっとー・・・ノロイ・・だったかな?」

「そうそう!ノロイは何の動物だったでしょうか?」

「んー・・・忘れちゃったw」

「しょうがないなぁ。じゃあねぇ・・・万華鏡写輪眼!!」

「え?」

「・・・ごめん。いまのなかったことにして。もっかい最初からやるから良く見ててね」

「おう」

「ピョコ、キョロキョロ」

(中略)

「分かった?」

「んや、全然」

「じゃあ、もう一回やるね。ピョコ、キョロキョロ」

(中略)

「はぁはぁ。こ、今度は分かった?」

「さっぱりだ」

「し、仕方がない。もう一度・・・」

「これじゃあ、イタチごっこだよ」


023 離婚の執行猶予
「あなたっ!こんな遅くまでどこに行ってたのっ?!」

「接待だよ。接待」

「へぇ〜?じゃあ、これは何かしら?」

「そ…それは…」

「私が何も気づいてないとでも思ってたの?」

「申し訳ない!もう浮気なんてしない!今度こそ本気だ!誓う!」

「これで何度目よっ!もうイヤ!離婚よっ!離婚だわ!」

「それだけは勘弁してくれ!何でもするから!」

「…仕方がないわね。条件があるわ」

「なんだ?」

「もう私以外の女性と口を利かないで」

「そ…それはさすがに」

「へぇ?あなたの本気なんてそんなものなの」

「でも…」

「私も鬼じゃないわ。一週間。一週間でいいわ。それで今回は許してあげる」

「それなら…なんとか」

「破ったら離婚ですからね?いい?」


プルルルッ プルルルッ


「…こんなときに電話だなんて。誰かしら。」


カチャ


「はい。山本です。あらお義母さま。この間はありがとうございました。おいしくいただきました。 え?ああ、はい。帰ってますよ。今日はめ・ず・ら・し・く早く帰ってきましたの。 …あなたお義母さまから」

「久しぶり。大丈夫だって。うまくやってるって。うん。え?しょうがないだろ。忙しいんだから。………」





「お義母さま。なんだって?」

「たまには帰って来いとさ」

「ところで、あなた」

「な、なんだよ」

「やっぱりあなたの本気なんて、そんなものだったのね」

「ちょっ、それはないだろう。電話くらい…」

「電話だからなんだっていうのよ!」

「それに、相手は…」

「お義母さまだって女性だわ。ええ、あなたをお一人で育てていらっしゃった立派な女性よ!」

「あのな」

「だからこそよ!あなたが大事に思っているお義母さまにも口を利かないでくれたら! そうしたらあなたが本気を認めてあげようと思ったのに…」

「落ち着けよ」

「それなのに…舌の根も乾かぬうちから…」

「あのな…言いにくいことだから、今まで言えないでいたんだが」

「何よ!この上まだ隠し事?!」

「あの人、実は母じゃなくて……父なんだ」


022 嘘発見器?
「これから心理テストを行います。すべての質問に『はい』と答えてください」

「え?なんで?どうして急に?」

「『はい』だって言ってるだろうがっ!」

「…はい」

「LOWの反対は?」

「HIGH」

「燃えた後に残るのは?」

「灰」

「受精卵が形成するのは?」

「胚?」

「先生、質問です。元気よく」

「ハイッ!」

「あなたはいま好きな人がいますか?」

「はい(///)」

「それは私ですか?」

「いいえ」

「_| ̄|○」

「あの…結果はどうなりました?」

「あなたは嘘がつけない性格です」


021 文房具屋さん
「いらっしゃいませ。当店にはどんな御用で?」

「え?ここ文房具屋ですよね?」

「はい。ご覧のとおりです」

「ですから、文具を買いに」

「文房具と一口に言っても色々ございますから」

「シャーペンの芯を買いに来ました。これでいいですか?」

「さすがお客様!お目が高い!お高くとまっていらっしゃる!!」

「謙虚に生きています」

「シャープペンシルの替え芯コーナーはこちらになります」

「わざわざ、どうも」

「ところで本日のご予算は?」

「え?シャー芯なんてそんなに違わないでしょう?」

「他の店ではそうかもしれませんが、当店は品揃えの良さが自慢でございます」

「できれば安いのがいいです」

「みなさんそうおっしゃいますよ。ご説明の後にもそうかどうかはわかりませんが。ふふふ」

「例えばどんなものがあるんですか?」

「金の芯」

「金色なんですか?」

「いえ、正真正銘、金で出来ています」

「おお、すげぇ」

「だから書けません」

「やっぱりすごくない」

「でも、ご友人に自慢できますよ?」

「他のにしてください」

「では魔法の芯なんていかがでしょう?」

「あからさまに怪しい」

「この芯を入れてシャープペンをノックすれば、意中のあの人の心の扉もノックできてしまうという代物です」

「うさんくさい」

「お疑いになるのなら、こちらの試供品をお試しください」

「カチカチカチ」

「……」

「な、何を潤んだ瞳で見つめているんだ!」

「ノックされてしまいました」

「マジでか」

「幸い試供品は3ノック分の効果しかないので平常心を取り戻せましたが、危うくチェーンまではずすところでした」

「それ下さい」

「ありがとうございます。魔法の芯お買い上げ…と。カチカチ書き書き」

「何書いてるんですか?」

「魔法の芯は専用の魔法のシャープペンに入れてお使いいただかないと効果がございませんが?」

「それも下さい」

「ありがとうございます。魔法のシャープペンもお買い上げ…と。カチカチ書き書き」

「何書いてるんですか?」

「そしてさらに専用の魔法のノートに魔法の下敷きをお使いになると効果が倍増」

「ひっくるめて下さい」

「ありがとうございます。魔法のノートと下敷きもお買い上げ…と。カチカチ書き書き」

「だから、何を書いているんですか?」

「え?お客様のお買い物リストを」

「すぐそこにレジがあるのに?」

「いえ、これは購買意欲をノックする魔法の芯を使って書いていますので」




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