ネコキン翔太 前編 |
「オレ、ラスボスまでいったぜ」 「え?マジで?」 「マジだって!炎の石取るのに苦労したけどな」 「ゲェー、竜也に先越されたー」 「エンディングみせてやろうと思って、ボスの前でセーブしてんだ。今日家来いよ。見せてやるから」 「行く行く」 僕らはいつも帰り道で約束をする。火・木をのぞいて。火曜日は僕と竜也のプールと、浩介の塾。浩介は木曜日にも塾がある。 よかった。今日は遊べる。 最近は何かと忙しくって、それ以外の日でも放課後にみんながそろわなくなってきた。僕だけヒマでもしょうがないし。そんなとき、たいていは家でゲームをすることになる。いい加減飽きてきたんだけど。家はそんなにお金持ちじゃないから、新しいソフトをどんどん買ってもらえるわけでもないし。ちぇっ、弟でもいれば少しはマシかもしれないのに。 ウラワザについて話しながら、カエル公園(小さい池があってカエルがウヨウヨいるから僕たちはそう呼んでいる)まで着たとき、変な音がした。 「ねぇ、なんか聞こえない?」 「え?なにが?」 「どんな音さ?」 僕らは話を止めて耳をすます。急に静かになったような気がする。さっきまで気にならなかったのに、通りの奥で小さい子がボール遊びをしている声がやけに大きく聞こえる。これが変な音を聞くために話を止めたからだからいいようなものの、いつもの帰り道でこんな沈黙があったらと思うと、ゾクゾクする。 「・・・音?違う。声?・・・鳴き声だ!」 僕を先頭に声の方に近づく。公園の横にくっついている集会所の端っこにダンボールがある。どうやら鳴き声はその中からみたいだ。 「おい。早く行けよ」 「ええ?やだよ。こういうのは竜也の方が得意だろ」 「なんだよそれ。最初に気が付いたのは翔太だろ。責任取れよ。」 「・・・わかったよ」 僕は恐る恐るダンボールに近づく。近づいても声は小さいままだ。 「あっ、ネコだ」 「なんだよ。ただの捨て猫かよ〜」 「たいしたことなかったね」 急に気が抜けたから、少し声が大きい。 安心して、ネコを抱き上げる。僕は結構ネコ好きだ。そのとき竜也がでかい声を出した。 「おいっ!そいつ変じゃねぇ?!」 「ん?どこが?」 「目だよ、目。目ぇつぶれてんぞ。」 「うわぁぁ!!」 確認しようとして、思わず自分の方に仔猫を近付けて、ビックリして落としてしまった。仔猫は「ブニャッ」って鳴いた。だって・・・グチャグチャだった。目が。両目とも。小さいハエみたいなのもいっぱいくっついていた。おえっ、気持ち悪い。 「そいつ病気なんだよ。」 浩介が言う。 「うわぁ。き〜たないの。汚いの。翔太が触った。汚いの〜!」 竜也がはやし立てる。 「な、なんでだよ!!」 僕がにじり寄ると、竜也は逃げていく。 「近寄るなよ、バイキン翔太。汚いのがうつるだろ。」 「ちょ、ちょっと待ってよ」 「待てないもんね〜。おい、浩介。逃げるぞ。」 「あ・・・うん。」 「わぁぁぁ!バイキン翔太が追いかけてくるぅ〜!!」 そう叫びながら竜也は走っていく。浩介は一回振り返ってから竜也についていった。僕は追いかけるタイミングを逃して、もう一度、目のつぶれた仔猫を見た。 (あ〜あ、竜也の家でゲームするはずだったのに。お前のせいだぞ!!) でも、やっぱり気持ち悪くって目をそらした。仔猫はずっと鳴いていた。 家に帰ると、すぐに手を洗った。 「あらあら、言われる前に手を洗うなんて珍しい。好きな子に『不潔な人なんて嫌い!』とでも言われたの?」 「そ、そんなんじゃないよ!」 「そう?じゃあ、なんなのかしら?」 「別に!なんだっていいだろ!!」 「まぁ、ずいぶんご機嫌ななめだこと」 乱暴にドアを閉めてゲームの準備をする。本当はお母さんにまで「汚い」と言われるのが恐かった。 「竜也なんかに見せてもらわなくても、自分でクリアするからいいもんね」 ソフトを起動していつものように冒険が始まったけれど、いつもと違って面白くはなかった。なんか気が乗らなくって、すぐ止めてしまった。 その夜。布団の中でじっと手を見た。お風呂にも入ったのに、まだ汚れているような気がする。仔猫の声も耳に残っている。両手にすっぽりと入ってしまった仔猫はすごく軽かった。 ● ● ● ● ● ● ● 教室に入ると、なんか変だった。僕が歩いていくとみんながスーッと下がっていく。廊下まで聞こえていた話し声が急にヒソヒソ声に変わる。嫌な予感がした。 前にもこんなことがあった。 去年のことだ。女子のくせにやたら背の高い小原聡子を「みんなで無視してやろうぜ」と竜也が言ったときだ。背が高いくせに、いつもおどおどしていて口数の少ない小原のことを、みんなそんなに好きじゃなかった。だから反対する人はいなかったし、それにクラスと仕切っている竜也に逆らうと何かと面倒なことになる。席替えのときに一人だけあぶれるのは誰もがイヤだった。 いつも一人の小原は、休み時間のほとんどを机に座って本を読んで過ごしていた。 ヒソヒソ声がひどくムカツク。そのボソボソした声に混じって、ひとつだけはっきり聞こえてくるのが、かすれた笑い声。竜也だ。 気にしない振りをして鞄を置いて机に座ると、落書きがされていた。 でっかく"ネコキン"。 ネコ・・・やっぱり竜也のしわざだ。昨日のことは竜也と浩介しか知らないはずだ。浩介がそんなことするはずないから、絶対、竜也だ。 悔しいからか、恥ずかしいからか顔が赤くなる。じっと下を向いていたが、一瞬顔を上げたとき、ニヤニヤしている竜也と目が合った。竜也が近づいてくる。 「よう、翔太。昨日はちゃんと風呂入ったか?」 「当たり前だろ。」 普通に答えたつもりなのに、声が震えている。机二つ分まで来たところで、竜也が急に鼻をつまんだ。 「うわっ!クッセー!風呂入ってもネコキンは落ちねーんだな。」 「な、なんだよそれ」 思わず立ち上がった。すると竜也が飛びのく。 「こっち来んなよ、翔太!ネコキンがうつるだろ。きっとお前そのうち目ぇつぶれるぜ。オレまでつぶれたらどうしてくれるんだよ。なぁ、ネコキン翔太」 そうか。ネコキンってネコ菌か。そういえば小原のときもノッポキンとか言ってたな。進歩のないやつ。 小原もこういう気持ちだったんだろうか。じつは僕もけっこう嫌われていたんだろうか。そう思ったら、すごく悲しくなってきた。ごめんな、小原。あのとき僕も小原を笑ってた。竜也みたいに直接からかったりはしなかったけど、笑ってた。ごめんな、小原。僕はクラス替えで隣のクラスになった小原に、心の中で謝った。 だんだん竜也に混じってふざけるのが好きなやつらが加わってきた。僕に近づいては鼻をつまみ、「クッセー」と言っては遠ざかる。かわるがわる何度もそれを繰り返す。女子は関係ないふりをしながら、目の隅っこで見ていてクスクス笑っている。 やばい、泣きそうだ。 そのとき先生が教室に入ってきた。助かった。何とか泣かずにすんだ。 そういえば小原は一回も泣かなかった。おとなしいけれど本当はすごく強いのかもしれない。 ● ● ● ● ● ● ● 帰りの会が終わると、すぐに教室を出た。教室にいたくなかった。早足でずんずん歩いていく。話し声と笑い声が背中に突き刺さる。他のクラスの人も、他の学年の人も全員僕のことを話していて、笑いものにしているような気がする。 昇降口を出ると、僕は走った。火曜日はプールがあるからいつも少し走って帰るんだけど、もっと速く走った。 もうすぐカエル公園だ。スピードを上げる。集会所の隅にダンボールがチラッと見えた。下を向く。何で見ちゃったんだよ。あいつのせいで、僕は・・・僕は・・・。道路だけを見てひたすら走っていく。小さい公園なのに通り過ぎるまでがすごく長く感じた。 「ただいまぁ」 「おかえりなさい。ずいぶん元気ないわね。昨日から変よ。気分でも悪いの?プールは?行ける?休む?」 「・・・休む」 自分の部屋に入って鞄を放り投げると、ベッドに倒れこむ。プールに行けば竜也がいる。竜也には会いたくなかった。頭がグチャグチャする。まさか自分がこんなことになるなんて。 プールにお休みの電話をかけているお母さんの声が止むと、ドアが開いた。 「熱は?計ってみなさい」 ゴロンと寝返りをうって体温計を耳に当てる。36.6℃。平熱だ。 「熱はないみたいね。でも寝てなさい。パジャマに着替えるのよ」 当たり前だ。熱なんかあるわけない。具合が悪いわけじゃないもの。でも気分が悪いのは本当だ。さっきお母さんは「気分でも悪いの?」と訊いた。だから嘘はついてない。でも、一応心の中で謝ってから「うん。そうする」と言った。 ベッドに横になってても眠れない。考えないように考えないようにと思うほど、学校での出来事が浮かんでくる。なんだか、また泣きそうになってきた。のっそりと起き上がると、机の方へ歩いて一番下の引出しを開ける。 取り出したのはウルトラマンの人形。もうずいぶん黒ずんでいる。変な風に入れていたからか頭のとんがりも半分曲がっている。 これを出したのは久しぶりだ。小さい頃は毎日これで遊んでいけど、いつからかだんだん遊ばなくなってきた。 (こんなに小さかったっけ?) 握ったときに隠れる部分がずいぶん多くなった。前はよく片手を握って振り回して遊んでいたのに、手だけをつかむと窮屈に感じる。 ひっくり返すと足の裏にお母さんの字で"しょうた"と書いてある。これを買ってもらったとき、ウルトラマンは僕のヒーローだった。ウルトラマンみたいに強くなろうと思っていた。なのに、いまは泣きそうな顔でウルトラマンをつかんでいる。ごめんな。ごめんな、僕、強くなれてないよ。弱虫だよ。あのころの僕に謝る。 「今日は早く寝なさいね」 晩ご飯を食べてお風呂から上がった僕にお母さんが言う。そのつもりだ。今日は疲れた。何もやる気が起きない。テレビも見たくない。宿題がなくてよかった。 夢の中で僕はまた走っていた。カエル公園の横を、全速力で。それなのに、いくら走っても公園から離れられない。仔猫の鳴き声が追いかけてくる。走れば走るほど大きな声になる。あんなに細くて小さい声だったはずなのに。 息が上がって、立ち止まる。顔を上げると、公園の中だった。・・・いつのまに。通り過ぎたはずだったのに。目の前には仔猫を抱き上げてこっちを向いている、幼稚園くらいの僕がいた。悲しそうな顔をしている。 (やめてくれ!そんな目で見ないでくれ!) 僕はまた走り出した。 汗をびっしょりかいて目が覚めた。同じような夢を3回見た。 ● ● ● ● ● ● ● 「起きた?具合は?悪くない?」 お母さんが起こしに来た。眠い。よく眠れなかった。 「うん・・・大丈夫」 ボーッとしながらご飯を食べる。これから学校か。行きたくない。 教室に入る。昨日と同じことが繰り返される。僕に近づいては「クサッ」と言ってあとずさる、おとといまでの友達たち。授業中が一番楽だなんて、いままでなかった。休み時間がこんなに長く感じたことも。 給食のグループがまた辛い。僕の机の周りにスキマが出来る。給食当番じゃなくって良かった。僕が配膳したものが残されるということになりかねない。 ただただ放課後になるのを待つ。昨日ウルトラマンと約束した。泣かないと。ウルトラマンほど強くはなれなくても、せめて一度も泣かなかった小原には負けないように。 やっと終わった。校門を出る。今日は歩いて。考えていたのだ。カエル公園に寄るか寄らないか。僕をこんな状態に追い込んだ仔猫が憎い気持ちもあった。だけど、どうしようもなく気になっていた。一人ぼっちの休み時間の間、浮かんでくるのは仔猫のことばかりだった。一日中考えたけれど、結論は出ていない。 僕の気持ちみたいに空が重い。だんだん暗くなっていくようだ。・・・雨が降るかもしれない。僕は寄ることに決めた。 重い足取りで公園に入る。 (どうか、誰かに拾われていてください) 祈りながら集会所のほうへ行く。鳴き声が聞こえない。祈りが通じたのかも、と思ったけれどダンボールが見えた。 鳴き声が聞こえないってことは・・・。考えると恐くなった。ダンボールをのぞき込むことが出来ない。深呼吸を10回くらいして、僕は覚悟を決めた。 (なんだ。眠ってたのか) お腹が膨らんだりしぼんだりしている。しぼんだときでもお腹はポンポコポンだ。眠っていれば、目がつぶれていることはわからない。 (かわいいなぁ。お前) 一瞬、躊躇してから頭をなでる。小さい。ゴロゴロと喉を鳴らす音がする。起こしちゃったと思って引っ込めようとした僕の手を、仔猫が両手で交互に押す。 (あっ、お腹がすいているんだ) 前に猫の赤ちゃんが生まれた近所のおばさんのところへ、遊びに行ったときに教えてもらった。これはおっぱいが欲しいときの合図だ。 「ちょっと、待ってて。牛乳持ってきてあげるから」 僕は家に向かって走り出した。 「ただいまぁ!」 カバンを放り投げて台所に向かう。冷蔵庫を開けて牛乳パックに手を伸ばす。 (ちぇっ、1リットルのしかないや。給食の残してくればよかった) 牛乳パックを服の中に隠して玄関に向かう。 (あっ!) もう一度台所に向かう。小皿を忘れてた。食器棚を開けて背伸びをして小皿をつかんで、玄関に向かう。 「どこ行くの?」 やばい。お母さんに見つかった。 「行き先をちゃんと行ってから出かけるように、いつも言っているでしょう。・・・なぁに?小皿なんかもってどうするの?」 「ちょっと・・・」 「お腹に何隠してるの?見せなさい」 しぶしぶ牛乳を出す。お腹が冷たくなってぬれている。 「牛乳と小皿ねぇ・・・。わかった。捨て猫でも見つけたんでしょう?」 「!?」 「言っとくけど、家では飼えないからね」 「・・・わかってるよ!」 靴を突っかけて、玄関を飛び出す。なんでわかったんだ?1階まで逃げてきたところで靴を履きなおす。追いかけては来ないらしい。とりあえずホッとした。別に飼おうなんて思ってない。 小走りでカエル公園まで行く。牛乳がこぼれるから、あんまり速く走れない。僕は牛乳をこぼさず、それでいて一番速いスピードを研究しながら走った。 「おまたせ」 平らなところを探して小皿を置き、牛乳をそそぐ。ダンボールから仔猫を出すと、すぐにピチャピチャとなめ始めた。 「・・・お腹ペコペコだったんだ」 僕たちが見つけてから、もう二日も経っている。捨てられたのは何日くらい前のことなんだろう?その間、この仔猫は何にも食べることが出来なかったんだろうか? 「そんなにあせんなくても、いっぱいあるからな」 だけど、1回だけおかわりすると、もういらないみたいだった。歩き出した仔猫をだっこして小皿の方へ近付けても、もう飲もうとしない。赤ちゃんだからちょっとでいいんだろうか。 僕はもう仔猫の目を見ても、気持ち悪いとは思わなくなっていた。 そのとき、後ろから草を踏む音がした。ビクッとして振り返る。 「・・・お母さん」 何でここがわかったんだろう? 「この子ね。どれどれ・・・小さいわねぇ。何週間くらいかしら。かわいそうに。」 「うん」 「さっきも言ったけどね。翔ちゃん。家では飼えないからね。別に意地悪で言ってるんじゃないのよ。家のアパートはペットが飼えないの。知ってるでしょ?」 「うん」 「誰かいい人に拾ってもらえるといいわね。」 「うん」 「・・・これは、もう飲まないのかしら?」 「うん」 「じゃあ、もって帰るわよ。暗くならないうちに帰るのよ」 「うん」 それだけ言うと、お母さんは牛乳と小皿を持って帰っていった。 お腹がいっぱいになったからか、仔猫はさっきから一人で遊んでる。長い草をちぎって目の前をちらつかせると、じゃれてきた。小さくてもやっぱり猫だ。 しばらくそうしていたら、後ろで足音がした。またお母さんかな、と思って振り返ってみると、浩介だった。 「よう」 「・・・何しに来たんだよ」 「気になってね。悪いか?」 「別に・・・」 「それ貸してよ。俺も遊ぶ」 「ネコキンうつるぞ」 「ああ」 「自分でとって来いよ。そこら辺にたくさんあるだろ」 「そうだな」 そういうと、浩介はきょろきょろ辺りを見回して、草をちぎってきた。僕らはしばらくそうして遊んだ。 「かわいいな。こいつ」 「うん」 だんだん暗くなってきた。仔猫が眠たそうなので、ダンボールに戻してやった。だけど、僕らは帰らずに、そのまま仔猫を見ていた。 「こいつ、どうなっちゃうのかな?」 「さぁ?誰かが拾ってくれるんじゃない?」 「でも・・・誰も拾ってくれなかったら?」 「知らないよ。そんなこと」 嘘だ。知っていた。だけど、口にしたくなかった。浩介もそれ以上何も言わなかった。 「暗くなる前に帰りなさいって言ったでしょう?」 また、お母さんが来た。 「あら、浩介君も。きっとお母さん心配してるわよ。早く帰りなさい。」 「・・・はい」 「ほら、翔ちゃんも帰るわよ。」 「・・・でも」 「でも、なに?」 「・・・僕ネコキンだから」 「?・・・ネコキンって何よ?」 「あっ、オレもネコキンです」 「だから、ネコキンって何よ?」 僕は、学校でのことをお母さんに話した。なんでこんなことを言っているのか、自分でもよくわからなかった。別にこの話をしたから、帰らなくていいというわけじゃない。 不思議なことに話している間、そんなに悲しい気持ちにならなかった。「オレもネコキンです」って言ってくれた浩介の言葉がうれしかったんだと思う。仲間がいるって心強い。 「ふ〜ん」 話を聞き終わると、お母さんは少しの間、黙っていた。 「それじゃあ、私もこれでネコキンね」 そういうと丸まって寝ていた仔猫を抱き上げた。 「さっ、帰るわよ」 「え?でも・・・」 「何回も言うけど、家では飼えないからね。でも、飼い主が見つかるまでの間なら管理人さんも大目に見てくれるんじゃないかな。だから、あんたたち一生懸命もらってくれる人探すのよ」 僕らは顔を見合わせた。 「うん!絶対見つける!!」 「頑張ります!」 「ふふ、現金な子たちねぇ。それとね、たぶんだけど、この子、顔洗ってあげたらたぶん目見えるようになるわよ。目やにでくっついているだけだから」 「ホント!?」 「わからないけど、たぶんね」 「ヤッター!早く帰ろうよ!!顔洗ってあげなくちゃ」 僕は思わず走り出した。 「こらこら、待ちなさい。ダンボールそのままにして置けないでしょう。持ってらっしゃい」 「へへへ」 ニヤニヤしながら戻ってくる。ダメだ。笑いが止まらない。 僕は浩介と絶対飼い主を探すぞ!と指きりをして公園を出た。 ● ● ● ● ● ● ● → 後編へ |
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