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 のんびりずきんちゃん 


のんびりずきんちゃん

 むかしむかし、あるところに、赤い頭巾がとっても似合う女の子がいました。
 そして、なにをやっても、とってもゆっくりしていましたので、みんなはその女の子のことを<のんびりずきんちゃん>とよんでいました。

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 ある日、お母さんが言いました。
 「おばあさんの具合が悪いみたいだから、ちょっと行って見てきてちょうだい。」

 「はーい。」
 のんびりずきんちゃんは、おばあさんへのお土産を持って、森の中へ入って行きました。

 おばあさんに会うのは久しぶりなので、のんびりずきんちゃんはとてもうかれていました。

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 すこし歩いていると、木のかげからオオカミさんが現れました。

 「やあ、のんびりずきんちゃん。どこへ行くんだい?」
 「おばあさんのとこへね、お見舞いに行くの。」
 「へえー、えらいね。お見舞いには何を持っていくの?」

 のんびりずきんちゃんは、バスケットをのぞきこみながら言いました。

 「んーとね、お味噌と、お醤油と、お砂糖!」
 「ずいぶん重たい物ばかりだね。疲れないように、途中で休んでいくといいよ。それから、そこの原っぱにお花がたくさん咲いているから、持ってってあげるといいよ。きっとよろこぶよ。」
 「きっとそうね。おしえてくれてありがとう。」

 のんびりずきんちゃんはオオカミにお礼を言ってわかれたあと、さっそく原っぱへ行ってみました。

 「まあ、なんてたくさんお花があるんでしょう。」

 もともとうかれていたのんびりずきんちゃんは、時の経つのも忘れてお花をつみました。

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 そのころ、オオカミさんはおばあさんの家への近道を急いでいました。

 「へっへっへ、今日は久しぶりにごちそうにありつけそうだぞ。」


 おばあさんの家のまえについたオオカミさんは、のんびりずきんちゃんの声色をまねて、まんまと中に入りました。


 てっきり、のんびりずきんだと思って戸を開けたおばさんは、いきなり現れたオオカミさんの姿にビックリです。
 そしてあっというまに、オオカミさんにつかまっておしいれのなかにおしこめられてしまいました。

 「ばあさん、ちょっと我慢しててくれや、おとなしくしていれば食ったりしないから。俺はやわらくてうまそうな、のんびりずきんにしか用はないんだ。」

 そう言って、オオカミさんはおばあさんのベッドのなかにもぐりこむと、のんびりずきんちゃんを待ちました。

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 そのころ、お花つみに夢中になっていたのんびりずきんちゃんはあたりが暗くなり始めていることに気がつきました。

 「あら、たいへん。このままおばあさんの家へ行ったら、帰りは夜になっちゃうわ。今日は家へ帰りましょう。」

 そうしてのんびりずきんちゃんは家に帰りました。


 「ただいまー。おかあさーん、これおもいー。」
 「おかえりなさい。あらあら、おばあさんの家へ行かなかったの?まあ、こんなにお花を抱えて、また道草食ってたのね?」
 「えへへー。」
 「しょうがないわね。ほら早く手を洗ってらっしゃい。ご飯にするわよ。」
 「はーい。」
 「うふふ、返事だけはいいんだから。」


 こうしておばあさんの家へはまた次の機会に行くことになりました。

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 そのころ、オオカミさんはというと、すっかり待ちくだびれておばあさんのベッドでいびきをかいていました。
 おばあさんはそろりとおしいれから出ていました。

 「オオカミさん、オオカミさん。もう夜ですよ。今日はのんびりずきんはこないようですねぇ。」

 目を覚ますと、おばあさんはおしいれからでているは、のんびりずきんはいないはで、オオカミさんはすっかり混乱してしまいました。
 そのとき
 「ぐぅぅー。」
 と、オオカミさんのおなかがなりました。

 「あら、それではご飯にしましょうか?」
 おばあさんはオオカミさんが寝てるうちに、すっかり夕飯の用意をしていました。

 オオカミさんは、まだすこしぼんやりしていましたが、おばあさんと一緒にご飯を食べました。
 そのご飯のおいしかったこと。
 オオカミさんはすっかり感動してしまいました。

 実はおばあさんは、ぜんぜん具合が悪くなんかはなく、寂しかったから、のんびりずきんに来てもらおうと嘘をついたのでした。
 そしてこのご飯は、のんびりずきんといっっしょに食べようと思って用意しておいたものでした。


 おいしいご飯が食べられたオオカミさんと、オオカミさんのおかげで寂しくなくなったおばあさんは、とても仲良くなりました。

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 何日かあと、お母さんとのんびりずきんがおばあさんの家へ行ってみると、おばあさんとオオカミさんが二人でお茶をしていました。

 「おじゃまします。」
 「あー、あのときのオオカミさんだ。」

 オオカミさんはもう、のんびりずきんを食べようとは思いませんでした。

 「ほら、二人とも、こっちへきて一緒にお茶を飲もう。」

 4人はお菓子を食べたり、ゲームをしたりして楽しくすごしました。






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