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 うさぎとかめとたぬき 


うさぎとかめとたぬき

むかしむかし、あるところにあんまり仲のよくないなかよし3人組がいました。
でも、なんだかんだといってその3人、のんびり屋のかめ、おかまのたぬき、タカビーのウサギはいつも一緒に遊んでいました。

 
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ある日のことです。たぬきとかめがなにやら作戦会議をしています。
たぬきは相変わらず大阪のおばちゃんもビックリの厚化粧です。

た:「まーったく、やんなっちゃうわよねぇ、うさぎったら。」

か:「ほーんと。何であんなに威張ってるんだろうね。ちょっと、足が速いからって。」

た:「ほんとよねぇ。ちょっとかわいいからって。」

か:「え?なぁに?」

た:「ちょっとぉ、そこは『何言ってんだよ、たぬちゃんの方がかわいいよ』って言うところでしょう。」

か:「・・・ごめん、僕、うそはつけないんだ。」

た:「まぁ!あなた、そんなんじゃもてないわよ。まあ、いいわ、こうなったら、あのうさぎの奴をちょっと懲らしめてやらない?」

か:「え〜、でも僕、暴力は嫌だなぁ・・・。」

た:「誰がうさぎを殴るって言ったのよ。あたしがそんな野蛮な女の子に見えて?ほーらどこからどう見てもエレガントでしょう。」

か:「う・・・うん・・・。」

た:「あら、なかなかわかってきたようね。だからね、うさぎのあの足を逆手にとって、こうするのよ・・・ごにょ、ごにょ、ごにょ・・・。」

か:「うん、分かった。それならいいかも。うさぎちゃんどんな顔するかなぁ。フフフ」

た:「ほら、分かったらさっさと準備するわよ!」

か:「はーい。」


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いつもの原っぱで張っていると、予想通りうさぎがやってきました。

う:「あ、かめさんだ。かーめさーん、私と一緒に遊ばない?エヘへ。」

か:「(意味もなく笑ってるよ・・・。)いいよ、何してあそぶ?」

う:「うふふ。かけっこしない?」

か:「えー。またかけっこ〜?」

う:「そうよ。かけっこしましょう。」

か:「だってぇ、僕負けてばっかりなんだもん。」

う:「いいのよ。要するに私が勝って優越感に浸れればいいんだから。私が負けたら意味ないじゃないの。」

か:「ひ、ひどい。」

う:「何よ、私と遊べるだけ光栄だと思いなさい。どうするの!やるの?やらないの?」

か:「はいはい、やりますよ、やりゃーいんでしょ!」

う:「そおぉ?やってくれる?ありがとっ。うふふ。私のために、頑張って走っね。」

か:「(・・・いいぞ。ここまでは作戦どおりだ・・・。)」


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 いつもと同じように丘のふもとの一本杉をゴールに決めました。

「「位置について、よーい、どん!!」」

う:「あらかめさん、どうしたの?歩いてるの?うふふ、それじゃあ、お先にぃ!」



か:「フー、行ったみたいだな。後は、たぬちゃんうまくやってくれるかなあ?」


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 しょっぱなから軽快に飛ばしていくうさぎは、調子よくゴール付近まできました。そこでは、さらに濃いお化粧をして美容部員に化けたたぬきが待っています。

う:「うふふ。かめさん見えなくなちゃった。気持ちいいわねえ。ああ、風を切って走る私って素敵。でも、汗って私には似合わないわ。少し休もうかしら。」


た:「ちょっとそこのかわいいお嬢さん。」

う:「え?誰かかわいいお嬢さんって言ったかしら。」

た:「かわいいかわいいお嬢さん。ちょっとよっておいで。」

う:「きっと私のことね。何かしら?何か御用?」

た:「まあ!ちかくでみると、ますますかわいいわね。」

う:「嫌だわ、そんなホントのこと。もっと言ってぇ。」

た:「(全く、よく言うわね・・・)でも、もっとかわいくなりたいと思わない?」

う:「いいわよぉ。だってもう十分かわいいもの。」

た:「(まあ、どの口が言うのかしら)でも、ほーら、この化粧品を使えば、いまの十倍はかわいくなれるわよ。あなただったら、世界一かわいくなれちゃうかも。」

う:「ふーん、世界一か・・・いいわね。もう少しお話を聞かせてちょうだい。」

た:「(かかったわね)ほら、これなんかどうかしら。」

う:「どう?かわいい?かわいい?」

た:「こんなのもあるわよ。」

う:「まあ、素敵!」


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か:「やったー。ゴール!」

う:「え?かめさん、いつのまに?もしかして私負けちゃったの?」

か:「♪はっつしょうりー」

う:「くやしい、くやしい、くやしいぃ〜、・・・けど、まあいいわ、一回くらい譲ってあげるわよ。」

た:「うさちゃん、ちょっと鏡を見て御覧なさい。」

う:「え?ちょっと何よ、この顔!・・・・・・なかなかいいんじゃない?イケてるわ。」

か:「え?」

う:「あら、よく見るとあなた、たぬちゃんじゃない。よかったら、もうちょっとお化粧教えてくれる?」

た:「あら、あなた、この美しさが分かるの?いいわ、もっと詳しく話してあげる。ついてらっしゃい。」




 ってことで、大阪のおばちゃんもビックリの厚化粧が二人になりました。
 
か:「・・・こんなふたりに囲まれて遊ぶの嫌だよ〜」




ちゃんちゃん






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